昔の船乗りたちは、大嵐のなか船から油をたらし荒波を切り抜けていた。
そんな話を聞いたことがある。
三角波が立つ荒波の海に強い雨が降ると、最悪のようにも思うが、
逆に波が落ち着くんだと、自然は良くできている。
父島の海の男ネケさんに聞いたことがある。
悪い状況の時でも、人間は自分の中に叡智ともいえる智恵を持っている。
工夫し対処する智恵。自然とともに生きる智恵。
悪い状況が重なっても、活路を見出すことができる。
日記に『無人島に生きる十六人』の話を書いたが、最悪の状況と思うのは自分の基準しかない。あきらめて、この悪い状況が勢いを増して続くと考えると、最悪より最悪な状況になっていく。
すべては自分の内なる基準がどうあるかだと思う。
海にカヤックで漕ぎ出したとき、これは最悪だという状況があった。
南島の西側でうねりと三角波に翻弄された時。
洞窟を漕ぎ抜けるとき、波にあおられ鋭い岩ガキの上にカヤックごと乗り上げ放り出された時。
無人島の西島に出かけたとき、天候が急変し激しい落雷
が近づいた時。こんな時、さまざまな力が動き出す。
智恵が蓄積され、基準が変わっていく。
最悪の中には、自分へのヒントが含まれている。
最悪は、最悪ではない。そんな気がする。
思考だけでなく、その最悪に一歩真剣に踏み込む。
隠れた活路が見えてくる。そんな気がする。
写真:どこかに載せたかもしれないけど、カヤックから釣った大物。
荒れた海でザトウクジラを間近で見たり、アドベンチャーは楽しい。
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